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HAWKWIND | DOREMI FASOL LATIDO

UNITED ARTISTS - UAG 29364 (1972)

Hawkwind / Doremi Fasol LatidoHawkwind / Doremi Fasol Latido
シングルジャケです。ホークスのシンボリックイメージとして使われることになる盾が漆黒の宇宙空間に浮かぶデザイン。黒地に銀のコーティング。裏は、The Saga of Doremi Fasol Latidoとしてコンセプト文が掲載され、アルバムクレジットを兼ね、メンバーや関係者の紹介を兼ねています。
Hawkwind / Doremi Fasol LatidoHawkwind / Doremi Fasol Latido
インナースリーブはオレンジと黒の2色刷り。両面は1枚の絵を振り分けたものであることが分かります。日本盤では繋げて見開きジャケに加工されました。裏ジャケにはHAWKLORDS(ホーク卿)がダークフォースを打ち負かしたという記述があり、のちの変名バンドHAWKLORDSの名称はすでにここで使われています。
アルバムにはこのポスターSTAR RATSが付属していました。広げるとアルバム4枚分に近いサイズになります。
Hawkwind / Doremi Fasol Latido
Hawkwind / Doremi Fasol Latido
初回マトリクスはA-2U PECKO、B-2U PORKY。なお同じマトリクス、レーベルで、外周文字列のMANUFACTURED IN ENGLANDを塗りつぶし、レコード番号の上にManufactured in Germanyと追記したレーベルも存在します。
Hawkwind / Doremi Fasol Latido label

Side A
  1. Brainstorm
  2. Space Is Deep
  3. One Change
Side B
  1. Lord Of Light
  2. Down Through The Night
  3. Time We Left This World Today
  4. The Watcher

シルバー・マシンが大ヒットしているさなか、期待のニュー・アルバムが登場。この年も相変わらずハードなギグを続行しながら9、10月にレコーディング。聴衆の期待に応えたかのような会心の出来となりました。プロデュースは初めてバンド自身(ブロック&デットマーと記載)で行いました。

リズムセクションは前作から一新されドラムはテリー・オリスに替わりサイモン・キング、そしてベースはデイヴ・アンダーソンに替わってレミーとなりました。その他は前作と同じデイヴ・ブロック(G/Vo)、ニック・ターナー(Sax/Fl/Vo)、ディクミク(Audio Genelator)、デル・デットマー(Syn)で計6人編成。その強烈な個性で人気を博し始めたレミーによる牽引力のあるヘヴィなベースを基調に全体にソリッド感の高まった傑作。SAM GOPAL時代はギターでしたが、ホークスでベーシストとして開花しました。広がりのある空間を感じさせるサウンド処理が施され、正にスペース・ロック。各曲は前作IN SEARCH OF SPACEに比べてメリハリがつき、分かりやすい構成になりました。ディクミクとデットマーによる電子音はより派手にフューチャされ色鮮やかなサイケデリアに貢献。
オープニングはターナーのペンによる名曲Brainstormで幕を開けます。ホークウインドを代表するような曲で、ブロックのマシンガンギターのイントロから同じリズムでひたすら突き進む爆走ナンバー。ワウのかかったギター、エフェクトまみれのサックスの酩酊したかのようなアドリブ演奏が続きながらも、リズムセクションのパワーアップにより強烈なドライブ感が生まれています。リードボーカルはターナー、そこにブロック、レミー、ディクミクがコーラス(というような綺麗なものではありませんが)を加え、厚みを増しています。
Space Is Deep 前曲から一転アコギの神秘的で美しいアルペジオからコードストロークに移り変わり、ブロックがリードボーカルをとります。複数の電子音が宇宙空間の浮遊感を表現。アコギの演奏にエレキがかぶさりリズム隊が加わり宇宙空間を突き進むような流麗なグルーブが展開。ハイトーンのエレキが伸びやかに旋律を奏で、フルートが舞います。
One Change 前曲の余韻の中、エフェクトをかけたアコピによるチルアウトなインタリュード。デットマー作。
B面はレミーのベースが活躍するLord Of Lightからスタート。イントロのノイジーなギターをはじめ、間奏部分などにフェーズ処理が施され強烈なフリークアウト感が味わえます。ボーカルはブロック。
アコギが復活しメロディアスなDown Through The Nightもブロックがリードボーカル。ターナーはフルートをプレイ。
続いて重いリフが印象的な Time We Let This World Today。デイヴのリードボーカルにレミーやターナーらのボーカルの掛け合い、サックスやベースのソロが続きながら強引に進行。レミーのベースが強烈でバンド全体を引っ張っていきます。B面ここまではブロック作曲。
最後はレミー作のThe Watcher。ドラムレスのダウナーなナンバー。
レミーとキングの加入により更に増した推進力、そして各曲が粒ぞろいの名盤となりました。アルバムは前作をしのぎ全英14位までヒットチャートを登りました。

Hawkwind member 1972
【HAWKWIND 1972】L to R: Nik Turner - Dik Mik - Del Dettmar - Simon King - Dave Brock - Lemmy
アルバムレコーディング中のロックフィールド・スタジオにて

このアルバム発表と合わせて2ヶ月間に渡るUK縦断ツアーが行われ SPACE RITUALの音源が録音されました。この72年のホークスは信じられないほどの精力的な活動で、ギグ回数は120回を超え(平均して3日に1回)、その中でこのアルバム収録、更にSPACE RITUALの企画と実行、そのライブ・レコーディング、、若かったです、この頃のホークスは。

SPACE RITUALツアーの成功で、NME誌72年のライブ・パフォーマンス部門4位に、またシルバー・マシンが年間ベスト・シングルに輝きました。この活躍で押しも押されぬUKのトップ・バンドの一員になりました。


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2020/03/14 update


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