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WARRIOR ON THE EDGE OF TIME

UNITED ARTISTS - UAG29766 (1975)

Hawkwind Warrior On The Edge Of Time cover
Hawkwind Warrior On The Edge Of Time inner sleeve
インナーはモノクロのステージフォト。ツイン・ドラムとレミーが映っている貴重な写真。
シンボリックなイメージの4面開きジャケ。裏側は混沌の盾、ムアコック・ワールドですね。
Hawkwind Warrior On The Edge Of Time coverHawkwind Warrior On The Edge Of Time cover

Side 1
  1. Assault & Battery Part I
  2. The Golden Void Part II
  3. The Wizard Blew His Horn
  4. Opa-Loka
  5. The Demented Man
Side 2
  1. Magnu
  2. Standing At The Edge
  3. Spiral Galaxy 28948
  4. Warriors
  5. Dying Seas
  6. Kings Of Speed

75年5月、いよいよ新作が登場します。ムアコックの世界観そのままのファンタジックなジャケットに包まれた名作。メンバー、楽曲、演奏、コンセプト、ジャケデザイン、すべての要素にケミストリーが働いたとしか思えない作品です。海外のファンの間でもホークスのアルバム中最も好まれている作品です。

アルバム・コンセプトは、ずばりムアコックのETERNAL CHMPION(永遠のチャンピオン)。SF作家のマイケル・ムアコックは若い頃から曲作りやバンドをしていました。71年頃からホークスのギグで自身の詩を朗読するなどで時折参加。75年3月、そのムアコックの本業であるヒロイックファンタジーを題材にアルバムを制作しました。ムアコックも朗読で参加。前作から顕著化してきたバンド全体の整合感、キングとパウエルのツインドラム、ハウスによるメロトロンを押し出したシンフォニックな音作りと合間って壮大な音の絵巻となりました。SPACE RITUALまでの音のカオスは減少し、整理されたアレンジがこの作品の完成度を高めています。音質も向上し各楽器が明瞭になったミックスとなっています。
アルバム制作のきっかけは同年4月からのUSツアーに伴い、USの配給元ATCOより新作リリースを条件とされたもので、そのため3月の数日間という短期に作られたようです。

印象的な曲が多く、オープナーと2曲目(Assault & Battery Part 1、The Golden Void Part 2)はメドレーになっており、ステージで定番レパートリーになります。インストルメンタルのOpa-Lokaは2人のドラマーの多彩なパーカッションがドイツのNEU!を彷彿させるアパッチビートを刻み、シンセやフルートがヒロイックファンタジーの世界観を醸し出していきます。人気の高いA面ラストのThe Demented Man はブロックのアコギと寂寥感あるメロディを唄う声がメロトロン&シンセの織り成すコードに乗る名曲ですが、当時のライブ・ブートをいくつか聴いてもステージでは演奏されていませんでした。B面トップのMagnuはツインドラムの演奏が印象的でダイナミックな曲想とマッチし迫力ある仕上がり。ハウスのペンによるSpiral Galaxy 28948はシンセの多重録音とバンド演奏が融合されスペーシーでスリリングな演奏。

Hawkwind menber 1975
【HAWKWIND 1975】L to R: Nik Turner - Stasia - Alan Powell - Simon House - Simon King - Dave Brock - Lemmy

キングとパウエルのツイン・ドラムとレミーのベースという強力なリズム・セクション、空間を埋め尽くすハウスのキーボードとバイオリンの大幅な起用、ムアコックが朗読により参加と、おいしい要素が揃ったこのアルバム、ホークス・アルバム史上SPACE RITUALに続く2番手の全英13位という実績を残しました。

しかしリリース同月悲劇が。4度目の北米ツアー中カナダ入国の際、レミーがコカイン所持で拘留(実際はコカインではなく、もう少し軽いアンフェタミンでそれほど重罪ではなかった)。バンドは保釈金を積んで釈放させ、トロントでステージを行いますが、再度USに入国しツアーを再開するもバンドはレミーを即解雇、代役にPINK FAIRIESのポール・ルドルフを抜擢します。メンバー不祥事によるツアーキャンセルを懸念したこともありますが、バンド内で存在感の大きくなるレミーへの嫉妬や、スピードを常用することにも批判的だったバンド内の軋轢が作用したそうです。
レミーはその後一人でイギリスに戻り、MOTORHEADを結成します。突然の解雇でマネージメントやバンドに対して相当な確執を持っていました。しかしその後、ブロックとは和解します。ブロックはバンド歴史上最大の後悔としてレミーの解雇を挙げています。

バンドはその後もヨーロッパやUKツアーを続けます。8月のレディングが節目で、そのステージを最後にステイシアが結婚のためバンドを抜け、カルバートが客演。その後12月にカルバートは正式復帰します。
このアルバムを最後にUNITED ARTISTSを離れることに、そしてマネージメントはダグ・スミスからトニー・ハワードに変更することになります。(なおダグ・スミスは80年に再度復帰します)


<リイシュー情報>

このアルバムから、今までレコード会社任せだった版権をバンド側が保持することになりました。そのためLIBERTY/UA期の作品群はEMIに引き継がれた後もEMIの判断で再リリースが繰り返されますが、このアルバムだけ再発されなかったのはEMIに権利がなかったからです。このアルバムから、版権はバンドが持つことになったのです。そのためリリースについては参加メンバー全員の同意が必要になります。
初CD化は92年に英DOJO、続いて93年にカナダのGRIFFINよりCD化されましたが、マスターテープからのマスタリングではなく、レコード盤起こしや子マスターからのマスタリングでした。

【DOJO LIMITED - DOJO CD 084 (1992)】
Hawkwind Warrior On The Edge Of Time DOJO CDHawkwind Warrior On The Edge Of Time DOJO CD

ジュエルケース、1CD。ブックレットは2つ折の簡素なもの。音源はアナログレコード盤起こしとのこと。

【GRIFFIN MUSIC - 55421 3931-2 (1993)】
Hawkwind Warrior On The Edge Of Time Griffin CDHawkwind Warrior On The Edge Of Time Griffin CD

カナダのレーベル。75年の米盤プレス用の第2世代マスターテープをデジタルマスタリングしたそうです。ジュエルケース、ブックレット、1CD。
上記CDにホークスのコレクター向けガイド本を同梱したボックスセットもリリースされました。ボックスセットのレビュー。
Hawkwind Warrior On The Edge Of Time Griffin CDHawkwind Warrior On The Edge Of Time Griffin CD

その後も人気アルバムゆえ再発の動きはありました。発売に伴う参加メンバーへの交渉は当初ダグ・スミスが担当したのですが、レミーがサインを拒否し続けていたため、発売ならずという状況でした。レミーは、モーターヘッドの初期のマネージャーだったスミスに対して、金銭等の関係で相当な不信感を持っていたため。
99年のEMIからホークウインド 結成30周年を記念したベストアルバムEPOCHECLIPSE(1枚もの、3枚ものの2種あり)がリリースされましたが、そこにWARRIORから公式としては初のデジタル化されたトラックAssault & Batteryが収録されました。3枚組セットにはAssault & Batteryに加え、Golden Void、Magnuの計3曲が収録。このときのマスタリングはジャーマンプログレのBIRTH CONTROLの鍵盤奏者だったゼウス・B・ヘルドが担当。なぜかすべてのトラックの左右が入れ替わっていました。タイトル「蝕」の事象の反転という意味から意図して入れ替えたのか、事実関係は不明。
その後、非正規盤がリリースされたこともありました。
いよいよ実現にむかったのが2012年頃。ホークスのアーカイブをリリースするATOMHENGEレーベルを立ち上げたマーク・パウエルやブロックがレミーに交渉を行なうことで許可が降り、2013年にオリジナルマスターテープ、マルチトラックテープからのマスタリング、スティーヴン・ウィルソンのリミックスやボーナストラックを含む決定版がリリースされました。

以下の3種のフォーマットでリリース。
【ATOMHENGE - ATOMCD1035】
STANDARD EDITION
オリジナルスターテープからリマスタリング。ボーナストラックは1曲のみ。シンプルにオリジナルを楽しむならこれ。
Hawkwind Warrior On The Edge Of Time Atomhenge Standard Edition

【ATOMHENGE - ATOMCD31037】
THREE DISC EXPANDED EDITION
オリジナルマスターテープに加え、スティーヴン・ウィルソンによる新ミックス、各種アウトテイクや未発表音源によるボーナス、DVDにはウィルソンによる5.1chサラウンドが収録。多角的にこの時期のホークスを楽しみたい方向け。
HAWKWIND WARRIOR ON THE EDGE OF TIME ATOMHENGE THREE DISC EXPANDED EDITION

【ATOMHENGE - ATOMBOX 1001】
SUPER DELUXE BOXSET LIMITED EDITION
上記THREE DISC EXPANDED EDITIONに180gLPやポスターなどつけた限定のデラックスセット。マニア向け。
HAWKWIND WARRIOR ON THE EDGE OF TIME SUPER DELUXE BOXSET LIMITED EDITION
なお国内盤もWHDエンタテインメント(のちにWOWOWエンタテインメントに社名変更)からリリースされましたので、紙ジャケが好きな方には、はそちらをおすすめ。


関連情報

・当時リリースされた日本盤(1975)のレビュー

・日本再発盤(1981)のレビュー

・EXILESさんのEBS CDのレビュー

・LPのアメリカ盤プロモ(1975)のレビュー

・ATOMHENGE STANDARD EDITION(2013)のレビュー

・上記の国内盤「絶対絶命」のレビュー

・ATOMHENGE THREE DISC EXPANDED EDITION(2013)のレビュー

・上記の国内盤「絶体絶命」トリプル紙ジャケット・デラックス・エディションのレビュー

・ATOMHENGE SUPER DELUXE BOXSET LIMITED EDITION(2013)のレビュー

・上記の国内盤「絶対絶命」スーパー・デラックス・ボックス・エディションのレビュー

・2013年度版のサラウンドMIXのレポート



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2018/05/07 update


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