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SPOCK'S BEARD『THE ARCHAEOPTIMIST』と奥本亮について

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SPOCK'S BEARD『THE ARCHAEOPTIMIST』
MADFISH MUSIC CMACD 1333 (2025)
SPOCK'S BEARD『THE ARCHAEOPTIMIST』
奥本さんの直筆サイン。

7年ぶりの新作は奥本亮がプロデュース

スポックスも長年聴いてきたバンドで、なんと言っても我が国の奥本亮が参加しているという点で応援しています。ジェントル・ジャイアントやイエス、ジェネシスなどの大御所からの影響を感じさせつつ、USならではのポップ感、ジャジーさをクロスオーバーさせつつ強度のある演奏、爽快なメロディ、コーラスが万華鏡のように展開していく多彩な演奏で毎作期待を裏切りません。
バンドとしては前作『ノイズ・フロア』(2018)以来の気がつけば7年も経っての新作。公式サイトでのテッド・レオナードのコメントにあるように奥本亮がこれまで以上に多大に尽力した作品であるとのことです。22年に奥本のソロアルバム『ザ・ミス・オブ・ザ・モストロファス』がリリースされていますが、そこでUKのバンド「アイ・アム・ザ・マニック・ホエール」のマイケル・ホワイトマンの協力があり、このスポックスの新作でも奥本とホワイトマンが全曲作曲。プロデュースも奥本が担当。ドラマーについてはニック・ディバージリオの脱退後、ジミー・キーガンがドラムを担当していましたがそのキーガンが脱退し、前作ではディバージリオがゲストとして叩いていました。今作では新たにニック・ポッターズというドラマーが参加、調べたら10代の頃からプロで活動し、ドラム以外にもプロデューサーやスタジオ経営など多彩な才人でした。SBの複雑なリズムを難なくこなしつつ、ドライブ感もあります。
アルバム全体はとても練られた楽曲構成で緩急つけてのアレンジや演奏は従来通り、奥本のソロに比べてスポックスらしいコーラスワーク、ひねたリフの応酬、変拍子の多用などバンドの特徴を引き継いだ作風です。
Invisible オープニングはスポックスらしいコーラスからスタート。明るい曲調て様々なリフによるパートがどんどん展開していきます。オルガン、モーグなどのヴィンテージ機材が多用されています。
Electro Monk 7拍子を中心にしたシンコペ多用の変拍子チューン。スポックスぽいです。一転した中間部のボーカルパートはピアノをバックにアコギなども交えた美しくメロディアスな場面。
Afourthoghts ジェントル・ジャイアント的なイントロからこれもスポックスらしい展開、メロトロンが多用されています。中間部のコーラスパートはGG的な輪唱。近作ではこの輪唱があまりなかったので嬉しい。
St. Jerome In The Wilderness この曲も変幻自在の展開をしながら、サビのコーラスが良いですね、エンディングはきれいな終止形。
Archaeoptimist アルバムタイトル・チューンで最長の20分にわたる大曲。イントロで壮大なテーマ提示、続くボーカルパートはムーディなバラード風。次のパートはシンセシーケンス+メロトロンから始まりリフとメロディアスパートが入れ替わりつつ、次のレイドバック気味のボーカルパートに繋がっていきます。ボーカルパート2ではリラックした雰囲気で進行しながらもコーラスパートを挟みながら盛り上がっていきます。ハードなリフにオルガンソロのブリッジ、ピアノバックのギターソロとストイックに進んでいきます。メロトロン・ストリングが流れます。シンセソロが入った後はレオナードの高域ボーカルによるテーマに向けての歌。そしてギターとシンセのユニゾンでテーマが高らかに歌われます。
Next Step 大曲の後のチルアウトなイントロのクラシカルアコピがとてもリリカル。リズムが入ってきてギターソロ、スローテンポのボーカルパート。曲は激しく変化、中間部のアコギのアルペジオをバックにした静かなパート、モーグの印象的なリフがテーマとなって進行。エンディングはそのテーマで終幕。
メロディアスで多彩なアレンジがスポックスらしい仕上がり、ただ全体に押せ押せなところが多々あるので、もう少し抑えめな曲もあって良かったかも。いずれにしても高水準な現代プログレであり、やはりUSを代表するバンドかと思います。

奥本亮のソロ・アルバム『ザ・ミス・オブ・ザ・モストロファス』(2022)についての紹介はこちら


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