Compact Disc
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CHERRY RED - CDBRED830 (2020)
2019年11月にホークウインド結成50周年の記念ツアーを英国内で実施。全16公演で千秋楽はロンドンの名門ロイヤルアルバートホール(以降RAHと記載)。ツアーにはレギュラーメンバーの4人(デイヴ・ブロック、リチャード・チャドウィック、ナイル・ホーン、マグナス・マーティン)に加え、ゲストで古株のティム・ブレイクが同行。前座はブラックライト・オーケストラ。曲によってコーラスで参加しました。
サプライズゲストは11月25日のギルドフォードにブロック旧知の友人エリック・クラプトン(中盤から登場、そのままアンコールまでずっと共演)、RAHではフィル・キャンベルが参加。ステージ演出は後方のスクリーンに映像を映し出し、左右にはレーザー光線を2基(RAHでは4基)配置、過去の名アルバムのカバーを大きなポスターとしてステージ上に配置していました。
アルバム収録の各曲はツアーのどの場所でのテイクか詳細は記載されていません。The WatcherとSilver Machineはキャンベルが共演していますので、これはRAHのテイク。Youtubeに上がっているオーディエンステイクと比べると、短めのトラックがあるので、編集しているかもしれません。当然ながら権利関係で大変になるクラプトン共演のテイクは含んでいません。ブックレットには1枚だけクラプトンが写った写真が掲載されてますが。
結成50周年の記念すべき作品ですが、相変わらず音質が今一つ、帯域が狭い感じで、各楽器の分離も今一つ、細かいニュアンスが聴き取りにくいです。またテイクによってはモノラルなど音質に不満が残ります。おそらくブロックのスタジオでのパソコンによるミックスだと思いますが、このところずっと音質面が良くないのでポスプロは外部に任せて欲しいのですが。
タイトルですがカバーにはHAWKWIND 50と記載、CD面も同様。デジパックの背中面にはHAWKWIND LIVEと記載されています。どれが正規タイトルなのかわかりません。これだけの情報だとタイトルは「50」になってしまいます。オフィシャルサイトではHawkwind Live 50th Anniversaryと紹介、チェリー・レッドのサイトではHawkwind: 50th Anniversary Liveとなっています。DiscogsではHawkwind 50 Live。当サイトでは50TH ANNIVERSARY LIVEとしました。
2CD、デジパック、ブックレット。
3面開き、CDのプリント面とディスク設置面のプリントが合うようにしています。下は添付のブックレット。
DISC ONE
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DISC TWO
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Motorway City おなじみのシンセシークエンスが流れ、来日公演時と同じオープニングからスタート。初出79年の曲で、ブレイクが初参加したアルバムLIVE 79で披露された曲で、もはや古典曲。ここ数年はセットリスト落ちしていましたが、今回のツアーではブレイクが2015年以来のフル参加となったので、セトリに加えられたのだと思います。ブロックのリードボーカルに、チャドウィックとマーティンがコーラスをつけていますが、アルバムのミックスではコーラスが強調されていて、ブロックの声が抑えられています。後からオーバーダブされたような感じがあります。後半ブレイクのシンセソロ、ブロックのギターソロが続きます。Thank youと挨拶するのはマーティン。Youtubeに上がっているRAHやグラスゴーテイクのいずれとも異なるテイク。
ホークスらしいシンセの低音の唸りに電子音が流れるイントロからツアー実施時点での最新作「オール・アボード・ザ・スカイラーク」(以降AATS表記)のオープナーFlesh Fondue。パワーコードに乗せてボーカルが始まりますが、通常はブロックのリードがメインですが、チャドウィックのファルセットなどのボーカルなどが大きめにミックスされており、後から手を加えた感があります。中間部はシンセシークエンスに電子音の乱舞、オルガンによるブルージーな中間部は長めに演奏され、そしてAメロのパワーコードに戻り、最後はコーラス。全くもってホークスそのものな曲。
Last Man On Earth マーティンが同じく新作からの自作曲紹介MC。リードボーカルはマーティン、もともとアコギプレイがメインのプレイヤーで今回のツアーでもアコギをかなり使用している彼の個性が出たレイドバックした曲ですが、後半テンポアップしていくところが良い雰囲気。マーティン曲はホークスに新風を吹き込んでます。
Space Is Dark 電子音の流れる中、ブロックの朗読。ツアーではここはロバート・カルバートのSong Of The Gremlinの歌詞を朗読していたのですが、ポストプロダクションで差し替えたようです。版権に関わるものなのでしょうか、理由は不明です。音はモノラルです。
Born To Go ここで音はステレオに戻ります。ボーカルはブロックとマーティン。お馴染みの突っ走りナンバー、後半You Shouldn't Do Thatのリフに展開、ブロックさん特有のワウのかかったソロフレーズ、電子音ノイズに包まれ、Aメロに戻ります。いやー、相変わらずでかっこいいですね〜!Youtubeに上がっている演奏だとこの中間部ももっと長いので、やはり編集している可能性あります。
65 Million Years Ago 新作AATSからの隕石衝突をテーマにした曲。ブロックのリードボーカル。ミドルテンポで前半の不安なムードから徐々に盛り上がり次の曲につながります。
In The Beginning 同じくAATSから。スタジオアルバムでは前の曲からブレイク入りますが、ここではそのまま繋がっています。シンセとマーティンのピアノが美しいナンバー。曲終了後にブロックがマーティンを紹介。盛り上がってきたところで、定番曲へ。
Spirit Of The Age カルバート期、QUARKからのホークス・スタンダードナンバー。いつ聴いても気持ちが高揚しますね。ブロックのボーカルにチャドウィックとマーティンがバックコーラスを添えます。とどめにブレイクのソロ、さらに感動します。
The Fantasy Of Faldum AATSのクライマックスを飾ったマーティン曲。やはり自分で曲紹介、お父さんに捧げると言ってますね。前半のスローパート、中間のアップテンポとの対比が印象的な曲で、最後にブロックからヘルマン・ヘッセの小説から引用したと伝えられています。DISC ONEはここまで。
The Watcher 「ドレミファソラシド」のレミー曲。ブロックがフィル・キャンベルを紹介。Motörheadでレミーが亡くなるまで一緒に活動していた彼ですが、2017年のホークスのラウンドハウスでのギグに続いて二度目のゲスト参加。原曲より若干テンポアップ、ギターソロはキャンベル。リードボーカルはマーティン。RAHでのテイク。
Silver Machine リードボーカルはチャドウィックがやるとブロックが紹介。キャンベルが参加したまま演奏開始。当然大盛り上がり。
Assault And Battery / Golden Void「絶体絶命」のオープニング2曲。ブロックのリードボーカル。これもスタンダードですね。これ聴いただけでは44年前の歌声とほとんど変わらないところもすごいですよね。Golden Voidでのギターソロもいい感じです。
The Right To Decide シンセとベースによる美しい小曲、タイトルが付いていないのでイントロ的なものか。そしてあのシンセのイントロ、これやってくれたの嬉しいですね!この曲もスタンダード化すべきですね。
Accolade タイトルは称賛の意、メンバーやクルーへの謝辞をブロックが述べています。
Hurry On Sundown デビュー曲、感慨深いです。マーティンのアコギによる長めのイントロ。リズムが入ってブロックのボーカルと共に会場の合唱が聴こえます。
Master Of The Universe 最後はこれですか。唯一作曲者名にニック・ターナーの名前が見えます。太々しいタイトルといい曲調といいホークスの代表曲です。せめて1曲だけでもターナーを立たせて欲しかったです。このツアーが始まる頃にターナーは自身のFacebookで「、デイヴと楽しんで演奏していた時期が懐かしい、みんなデイヴの曲は買ってやってね」とコメントしていました。
Welcome To The Future そしてMasterとセットのこのトラックで幕を閉じます。最後にちょっと加工と編集が入っています。
良くも悪くもホークウインドはブロックのワンマン経営のバンドであることを実感しますが、このクオリティの担保はブロックあってこそのものとも言えます。
・同時リリースされたこのアルバムのアナログ盤のレビュー
・日本盤CDのレビュー。
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2021/05/23 update