Compact Disc
CHERRY RED - CDBRED822 (2020)
2012年に使用したHAWKWIND LIGHT ORCHESTRA(以降HLO表記します)のプロジェクト名を再び冠し、2020年10月にリリースしたアルバム。2019年の50周年記念ツアーが一段落した12月にデイヴ・ブロックがソロアルバムとして制作を開始、その後ホークスのメンバーであるリチャード・チャドウィック、マグナス・マーティンが制作補助で参加。折からのCOVID-19のパンデミックの影響で、制作はデータ通信を介して行ったとのこと。2012年HLOのプロジェクトは大雪に見舞われたために、同じ様にデータでのやり取りで制作方法を行ったので、今作でもHLOを冠したようです。各曲の作者はブロックで、一部マーティンとの共作クレジットがあります。アルバムタイトルはCORONA VIRUSとの語呂合わせで、肉食獣を意味するCARNIVOROUS(カーニヴォラス)。ブックレットにはコロナウイルスの脅威は、人間が他の種を食した結果であると記載されています。もともとブロックさんはベジタリアンなので、その思いが強く現れています。
作品自体は、ブロックのソロに近いので各曲はホークスより多少音楽性において幅が広いですが、HLOの1stに比較するとホークス寄りで結構楽しめる内容。
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Expedition To Planet X 次曲のイントロ的なインスト。電子音のSEにサンプリング弦楽器群のわななき。
Dyna-Mite オープニングにふさわしい溌剌系、メロディックハードロック。オブリガード風に入るソロギターのフレーズも相変わらず。
Void Of Wasteland 反復リズムにパッドシンセの流れるコードと電子音が飛び交う中にブロックのギターソロというホークス流シンフォ系インスト。
Repel Attract 全曲から続いており、ギターのコードストロークが入り、ブロックのボーカルによるAメロ。その後マイルドなコーラスが流れます。この辺り少し新しい感じのアレンジ。シンセのシークエンスが流れ、Aメロの繰り返し。ボーカルの高鳴りとともに盛り上がり収束、次曲につながります。
Attraction 電子音にアコギのゆったりしたストロークでチルアウト。共作マーティンとありますので、アコギはマーティンでしょう。
Human Behaviour (No Sex Allowed) ミドルテンポのハードロック。ブロックさん得意の図太いリフを中心に、ギターソロもかなりフューチャーされています。
Temple Of Love シンセシークエンスとエスニックなパーカッションによる小曲
Square Peg Into A Round Hole 電子音SEに続いてブロックのアナウンス。タイトルは社会に馴染めない、異端者を表す意。その後シンフォニックなシンセの演奏、大海の波の音。
Windy Day ブロックの趣味的なボーカルナンバー。ホークウインドのアルバムにはあまり収録されないタイプのラブリーでおっとりしたナンバー。
Model Farm Blues タイトル通りのR&Bな曲。ここまでのもホークスではやらないですね。
Whose Call Is It Anyway? 電話のコール音、電子音にマーティンのアコギ。終盤に向けてのインターバル曲。
Lockdown (Keep Calm) ここからアルバムのクライマックス。重々しいギターリフ、アコギも重ねられています。ロックダウンの情景を描き、ひたすら繰り返された後、シンセの静かなシークエンスとなり終了。
The Virus シンセによるウイルスを描写したかの様なパートから再び前曲のリフが繰り返されます。10分を超えるアルバム最長の曲。ウイルスによる人間への攻撃が歌われます。これは終わらせることができるのか?と最後に問うように歌われます。終盤は美しいパッセージになり終了。
Forgotten Memories 未来を見据えた希望を持たせる曲。ブロックらしい力強さと諸行無常感のあるメランコリーなメロディ。
Higher Ground 最終曲、Love In Spaceを思わせる生暖かいメロディアスナンバーで前曲の希望感を引き継いで、ホッとさせるエンディング。
コロナウイルスをテーマにしてはいますが、陳腐なコンセプト作にあらず、ファンなら十分楽しめる作品と思います。コロナウィルスの先はどんな未来になるのか、ホークスと共に新時代を歩んでいきましょう。
・同時発売したアナログLP2枚組のレビュー
・HAWKWIND LIGHT ORCHESTRAの1stアルバムSTELLAR VARIATIONS (2012)のレビュー
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2020/10/21 update