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MICHAEL MOORCOCK & THE DEEP FIX | NEW WORLDS FAIR

UNITED ARTISTS - UAG 29732 (1975)

Michael Moorcock / New Worlds FairMichael Moorcock / New Worlds Fair
シングルジャケ。インナースリーブ付き。一見普通のイラストのように見えますが、イラストを描いた木の板を貼り合わせ、立体になっているものを撮影した写真。アートワークはもちろんB.バブルス。インナー・スリーブには4冊の著作の表紙が掲載されています。
Michael Moorcock / New Worlds FairMichael Moorcock / New Worlds Fair

  1. Candy Floss Cowboy
  2. Fair Dealer
  3. Octopus
  4. Sixteen Year Old Doom
  5. You're A Hero
  6. Song For Marlene
  7. Come To The Fair
  8. In The Name Of Rock And Roll
  9. Ferris Wheel
  10. Last Merry Go Round
  11. Dude's Dream (Rolling In The Ruins)

DEEP FIX はムアコック(Vo/G/Banjo)、スティーヴ・ギルモア(G/Vo)、グラハム・カルノック(G/Vo)の3人によるバンドで、その名前はムアコックの小説THE FINAL PROGRAMに登場するバンドからその名前を取っています。活動は72年頃から行っており、ホークスメンのバックアップによりスタジオでDodgem DudeとStarcruiserの2曲を収録しました。それをきっかけにこのアルバムが制作されることになりました。ただしその2曲はお蔵入りになってしまいましたが、80年にフリックナイフよりリリースされます。アルバムの参加メンバーはDEEP FIXの3人に加え、ベースにクマ原田、ハイ・タイドのピート・パヴリがチェロで、そしてホークスからは、サイモン・キング、アラン・パウエル(当初はテリー・オリスも関わっていたようです)、キーボード&バイオリンでサイモン・ハウスで採譜なども行なっておりかなり関与していたそうです。ブロックはLast Merry Go Round、1曲のみリードギターで参加と記載ありますが、ムアコックは覚えていないそうです。またテリー・オリスも参加しているとムアコックは語っています。アルバムのプロデュースはスティーヴ・ギルモアですが、ムアコックによると当時のホークウインドのマネージャー、ダグ・スミスの意向がかなり入っておりクレジットもムアコックの確認なしに作られたとのこと。そのようなことを含めて、思い通りに制作できず結果には不満があると語っています。
アルバムカバーはバーニー・バブルスが手掛けています。ムアコックの世界観を感じさせる素敵なカバーですね。
アルバムがムアコックの語りを挟みながら進行します。曲調はホークスのスペイシーな感覚とは程遠いR&B、R&R中心のリラックスした内容。ムアコックのファンタジーな世界を想像していたので、初めて聴いた時はガックリしましたが、純粋な英国産R&Bと思って聴くと、なかなか味があるように思えてきました。ムアコックの歌唱は例によって危なっかしいですけど、クマ・ハラダの安定感のあるベースに支えられたリズムはしっかりしていますし、ハウスのキーボードもいい感じで、意外にメロトロンの使用率が高いのも良いです。

Fair Dealerはハウスとパヴリの弦楽器をバックにムアコックが朗々と歌い上げますが、この曲では少々おぼつかない感じです。
Octopus ギルモアの書いたハードロック曲でリードボーカルはおそらくギルモア。
Sixteen Year Old Doom ファンキーなベースが特徴なハードなR&B。ここでのムアコックのリードボーカルはFair Dealerに比べてかなり元気で張りのある歌唱。
You're A Hero カルノック作のポップソング、リードボーカルは本人かと思います。
Song For Marlene ギルモア作曲、リードボーカルも本人でしょう。後半メロトロンが流れます。作詞がサム・シェパード。俳優として結構著名な彼ですが、詩人や脚本もこなす人で、当時 DEEP FIXのメンバーであるギルモアと仕事をしていたことで、彼の詩が採用されたそうです。彼の主演作RIGHT STUFFは、ロバート・カルバートの曲と同じタイトルですね。
Come To The Fair カルノック作曲。ハウス&パヴリのTEB組の弦楽演奏をバックにフォーキーな演奏。
In The Name Of Rock And Roll こちらもカルノックのリードボーカル。ノリの良いR&Bなロック。ハウスのバイオリンが楽しい。ムアコックの名前を冠してはいますが、ギルモア、カルノックもかなり露出しているので、バンドとしては平等に運営されていたことが分かります。
Ferris Wheel ギルモアのバラード、ここでもハウスのメロトロンやパヴリのチェロが重厚さを演出。
Last Merry Go Round ムアコック曲、リードボーカルも本人。リードギターはブロックとクレジットされていますが、フレーズ的にどうも違う気がします。スノーウィ・ホワイトの演奏かも。
Dude's Dream 同じくムアコック曲。スローテンポのバラード、ここでもTEB組の弦楽演奏が特徴的。
ムアコック自身の音楽志向を反映したアルバムですが、のちに活動を共にするピート・パヴリのチェロ演奏など、普通のロックとは違ったことを目指す姿勢を感じ、やはりプログレッシブロックの範疇になるかなと思います。


関連情報

マイケル・ムアコック・ディスコグラフィ

2022/05/07 update


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