Compact Disc
CHERRY RED - CDBREDD864 (2022)
COVID19で長らく活動自粛していたホークウインドが再開した2021年のステージの模様を編纂した2CDセット。新メンバー2人は違和感なくフィット。選曲はライブ映えするナンバーを揃えており新旧のファンが楽しめる内容で、音質も良く近作の中でも出色のライブアルバム。新しいファンにこそ聴いて欲しい作品です。
DISC ONE
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DISC TWO
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2021年のホークスは8月の「ホークフェスト」、屋外フェス「ビューティフル・デイズ」、10月のロンドン、パラディウムのソロコンサートのみの計3本のステージでした。このライブアルバムはパラディウム(10/28)の演奏にホークフェスト(8/27-29)の演奏を加えたものと思われます。DISC ONEの1曲目からDISC TWOのBrainstormまではパラディウムのセトリ通りとなっています。
メンバーはブロック(G/Vo)、チャドウィック(Dr/Vo)、マーティン(G/Vo)に新メンバーティム・ルイス(Key)、ダグ・マッキノン(B)。
Magnu 『絶体絶命』の定番ナンバー。パラディウムのオープンニングのテイク。ブロックさんの衰え知らずのボーカル、ソロパートはマーティンのギターソロ、ルイスのシンセソロがフィーチャーされ中間部の高揚感が素晴らしい。ルイスのシンセはホークスのサウンドに極めてマッチしており、逸材であることが証明されています。後半ブレインボックス・ポリューションに切り替わっていく新アレンジが新鮮でいい感じです。
Cave Of Phantom Dreams 最新作『ソムニア』のエンディング曲。マーティンのモノローグ。
Unsomnia 同じく『ソムニア』のオープニング曲。原曲はもっさりした印象ですが、ライブならではの迫力が増しており好印象。マーティンのシャウトを煽る中盤から分厚いシンセ音の壁が効果的。
Uncle Sam’s on Mars 久しぶりのライブ演奏となるカルバート期『P.X.R.5』収録曲。イントロのシンセアルペジオも再現。マッキノンのベースも原曲のエイドリアン・ショウのはねた感じを再現しつつドライブ感も良いベーシストだと感じます。ボーカルはブロック。
USB1 アンクル・サムの中間パートとして、スイングしたリズムにマーティンのギターソロが乗るリラックスジャム。タイトルはUncle Sam's Boogieの略かな。終盤のマーチ形式になるアレンジも当時のもの。
Spirit Of The Age カルバート期を代表する名曲。『クオーク・ストレンジネス・アンド・チャーム』から。ドライブ感が全てのこの曲でベースがやはりいい仕事をしています。ブロックのリードボーカルにチャドウィック、マーティンがバックコーラス。流れる演奏にマーティンのギターソロ、ルイスのキラキラしたシンセソロが実にらしい。
It’s Only A Dream 『ソムニア』のインターバル曲Pulsestarのような電子音を挟み、同アルバムのブロック作のこの曲。中間部の拡大により原曲の物足りなさが解消され伸びやかな演奏。やっぱりホークスはライブで本領発揮。
Peace アコピの音色が美しいセンチメタルな小曲、ルイス初作曲。次曲の序章。
Right To Decide ライブ定番ポップロック。『エレクトリック・ティーピー』収録曲。リードボーカルは作曲者のブロック、最高に盛り上がります。ギターソロ、シンセソロが交互に入るあたりラントン&ブレイク期の再来を思わせます、いいですね〜!
Levitation CD2ものっけからこの曲で飛ばします。『レヴィテイション』のタイトルナンバー。ソロパート、ギターとシンセが続きますが、ここでもラントン&ブレイクのスリリングさが再現できるようになったルイスの加入効果は絶大。インターバルからAメロに戻るまでの盛り上がりは実に素晴らしく、テンション上げ上げです。
Brainstorm〜Neurons 勢いは止まらず、ど定番曲。この曲には欠かせない電子音は全編で唸っており最高です。中間部はGolden Voidのメローなコード進行になり、ピアノの伴奏にシンセソロという器用さを見せるルイス。テンポアップしギターソロにさし代わり、Aメロに戻ります。パワー全く衰えていません。
In The Beginning ここから音質が変わるのでHawkfestの収録曲になると思われます。スローテンポなシンフォニカルなシンセ曲。ブロック作曲。
Hurry On Sundown マーティンによるバイオリンのアシーネ・ロバーツの紹介。ロバーツのバンド3 DAFT MOKEYSはこのHAWKFEST2021に参加していたので、ここで客演となりましたが、バイオリン合いますね。デビュー曲、ブロックのリードボーカル。
Born To Go 続くこの曲もイケイケナンバー。『宇宙の祭典』のオープニングを飾った曲でドスの効いたリフが特徴的ですが、中間からYou Shouldn"t Do Thatのリフ取り入れたアレンジでテンポアップし演奏されます。
Star Explorer そこにエレキとピアノによるエレガントなパートが重なっていきますが、ブロックのギターとマッキノンのベースは飛ばしたまま突っ走り、Born To GoのAメロに回帰、実にエネルギッシュでホークスの真骨頂。今回、曲目には含まれていませんが、過去曲のフレーズやリフを活用したアレンジを積極的に取り入れている点がホークスの止まらない進化を表しています。
Space Is Deep 『ドレミファソラシド』の名曲。ブロックのリードボーカル。
It’s Not Unusual HAWKFESTのアコースティックセットでの演奏。メンバーのリラックスした会話から伺えるように、ここでは楽しくカバーを演奏、65年のトム・ジョーンズのヒット曲「よくあることさ」をプレイ、チャドウィックが歌唱。
The Watcher 同じくアコースティックセットでボーカルはマーティン。『ドレミファソラシド』のレミー作曲。
いつもながら紆余曲折してこのメンバーでの体制となりましたが、今まで何度も演奏してきた定番曲群に新しいアレンジを加えるなど、前進し続ける姿は頼もしい。演奏内容はかなり良いので、オールドファンも大満足するはず。この体制でスタジオ作を期待したいところです。
・このアルバムの国内盤のレビュー
・このアルバムのアナログ2LP盤のレビュー
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2023/2/22 update