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SOLSTICE | SIA
寡作バンドの最新作

2021年1月3日

SOLSTICE / SIA
SOLSTICE / SIA
GIANT ELECTRIC PEA ‎– GEPCD1066 (2020)
デジパック、IQのレーベルGEPからのリリース。長年IQと親交があり今回リリースでもバックアップされたそうです。

ソルスティスほどの寡作バンドは他にあまりないように思います。80年のデビュー以降、40年間ほぼ継続して活動していますが、その間にリリースされたアルバムは8枚。ライブ盤を除くとスタジオアルバムはわずか6枚。毎作、忘れた頃、あるいは「もうさすがに解散しているかな」と思う頃にアルバムがリリースされるというバンド。前作は2013年のリリースで、ボーナストラックにファーストアルバムの3曲をスティーヴン・ウィルソンがリミックスしたものが収録されていすが、ウィルソンは14歳の時にソルスティスを観て以来長年のファンだったということが「キンドレッド・スピリッツ」のライナーで明かされています。
リーダーのアンディ・グラスはマリリオンの前身バンドエレクトリック・ジプシーのギタリストであり、マリリオンのデビューから始まったポンプロック・ムーブメントの一角としてソルスティスは捉えられていましたが、プログレの範疇にとどまらずフォークからコンテンポラリーロックまで含む広い音楽性を有していると思います。1stアルバムのプロデュースはアシッドフォークのSSWナイジェル・マズリン・ジョーンズでしたし、ポンプロックにありがちな重厚なシンセや複雑な楽曲構成を取らず、アンサンブルで曲の持つ温かみや聞かせるタイプのバンド。変拍子を多用しつつも、それを感じさせないナチュラルさが信条。デビュー以降、メンバーチェンジしながらも、女性ボーカル、バイオリニストを包する編成を貫き、楽曲イメージもタメのある奥深い曲想でブレなく安定していますね。
今作はレーベルをIQのレーベルGEPに移してのリリース。リードボーカリストが97年から長年在籍していたエマ・ブラウンから新たにジェス・ホランドにスイッチ。グラスの長年の知り合いだったとのことで、従来の美声ボーカル陣に劣らないソプラノを聴かせます。オープナーShoutは3拍子中心にキレの良いリズムにクロスオーバー風なバイオリン、対照的に美しいコーラスのスローパートを挟む構成。この曲に象徴されるように、曲ごとに静と動の対比が鮮やかなアルバムで、時代の空気を読みながら前進している傑作だと思います。

ソルスティス・ディスコグラフィ
国内盤はマーキーからこつこつリリースされていましたが、前作PROPHECYから国内盤は発売されていません。


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