Compact Disc
ATOMHENGE ATOMCD 31037 (2013)
DISC ONE -CD The Remastered 1975 Stereo Album Mix
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DISC TWO - CD New Stereo Mixes By Steven Wilson
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DISC THREE - DVD
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CD-1にはオリジナルマスターテープからの初のデジタルマスタリング、CD-2にはスティーヴン・ウィルソンによる新ミックス、DVDには同じくウィルソン制作の5.1chサラウンド、96kHz/24ビットのハイレゾ音源としてオリジナルマスターテープ及びウィルソンミックスが収録。ウォリアーを様々なフォーマットで楽しめる仕様です。
CD1はSTANDARD EDITION同様、75年当時のオリジナルマスターテープからデジタルマスタリングした本編、それにボーナストラック。STANDARD EDITIONのボーナストラックは1曲でしたが、こちらは8曲。
MotorheadはシングルKings Of SpeedのB面。Soldiers At The Edge Of Timeはアルバムには収録されなかった朗読曲、ステージでは演奏されていました。作詞のムアコック本人の朗読、ターナーの朗読と2バージョン収録され、それぞれのバックのフリーな演奏やSEも異なっています。
On The Roadはブロックがホークス結成前にやっていたギターとハーモニカによるブルーグラス風歌曲ですが、以前のテイクではなく、WARRIOR収録期にレコーディングしたもの。他の曲に較べて明らかに浮いてますが、この時期にまだこの手の曲を作っていたという点で興味深いトラックです。
The Wizard Blew His Horn、アルバム本編はムアコックの朗読ですが、こちらのアウトテイクはターナー。朗読曲は全てターナーが試していたことが分かりますね。
Spiral Glaxyはデモテイク。本編はメロトロンに複数のシンセが重なり分厚いシンフォニックな音作りですが、デモはシンセ1本でソロを取っており、スカスカな音。その分リズム隊の演奏が明瞭でレミーのベースラインがよく聞き取れます。
Motorheadはボーカルがブロックの既出トラック。バイオリンソロもギターになっており制作の過程で試したバージョンと思われます。
Kings Of Speedは既出。ボーカル無しのインスト状態で、演奏も異なっており、中間部はバイオリンではなくサックスソロとなっています。
CD2は今回スティーヴ・ウィルソンに依頼した新ミックス。一聴した感じでは、各パートのバランスや定位はオリジナルに忠実に、デジタル化により各楽器の演奏が明瞭化した印象で、大きな違いはありません。オープナーのメロトロンは高域が伸びていますが、全体に高域が強く出ているので、マスターテープの音色により合わせているかもしれません。オリジナルをより高音質で聴けるという魅力が付加されたと思います。
こちらのボーナストラックはMotorheadのボーカル無しのバックトラックのみのテイク。中間部のSEやソロ演奏も入っていません。
そして未発表曲Dawn。冷たく神秘的なメロトロンが全編に流れる中、ギター&ベースの一定のリフがミドルテンポでずっと続きます。その上でエレキとフルートのインプロ。Opa-Lokaのデモのような感じですが、もっと混沌として、メロトロンの冷ややかさが強調されています。この時期でこそのトラックです。アルバムが急ピッチで制作されたため、あまり別テイクがない時期ですので、これは貴重なトラック。
残りの3曲は過去に発表されている75年ワッチフィールドのフェスでのテイク。Watchfield Festival Jamは過去にYou Shouldn't Do ThatやWatchfield FestivalなどのタイトルでANTHOLOGY系アルバムに収録されてきました。Do Thatのフレーズを中心にしたジャム。CirclesはWEIRD 103に収録されていたものと同じテイク。やはりインプロにブロックが歌うアシッドロック。I Am The Eyeも同様にWEIRD 103、ANTHOLOGY系に収録され、Elementsというタイトルだったことも。ギターの激しいリフからフェードイン、徐々に効果音やノイズのインプロとなりターナーの語りが入り、その後フェードアウト。
DVD アルバム本編のみとなりボーナストラックは入っていません。以下の3つのミックスが収録。
(1)5.1 Surround Sound Mixes By Steven Wilson、3つの再生フォーマットが選べます。もっとも高音質のMLPロスレスでは96kHz/24ビットのハイレゾ、DTS5.1は48kHz/24ビット、Dolby Digital5.1は48kHz/16ビットという3段階のスペックですが、いずれも5.1chのサラウンドが楽しめます。大きな違いは感じない2cミックスに較べて、サラウンドではマルチチャンネルを生かした各パートの定位やチャンネル間移動などダイナミックで新たな楽しみが味わえます。詳細はこちら「絶対絶命 5.1ch サラウンド評」でレビューしました。
(2)New Stereo Mixes By Steven Wilson、CD2に収録されているウィルソンによる新ミックスのハイレゾ版。
(3)Flat Transfer Of The Original Stereo Master Tapes、75年のオリジナルマスターテープを96kHz/24ビットに変換したままのもの。
以上の内容で、音的にはこれで十分すぎるほどの「絶体絶命」づくし。さらにメモラビリア的にコレクションしたい方向けに、スーパー・デラックス版が限定数用意されました。
・本作のサラウンドMIXのレポート
・オリジナルLP盤(1975)のレビュー
・LPの国内盤「絶体絶命」(1975)のレビュー
・LPの国内再発盤「絶体絶命」(1981)のレビュー
・LPのアメリカ盤プロモ(1975)のレビュー
・EXILESさんのCDレビュー
・ATOMHENGE STANDARD EDITION(2013)のレビュー
・国内盤「絶対絶命」(2013)のレビュー
・本作の国内盤「絶体絶命」トリプル紙ジャケット・デラックス・エディション(2013)のレビュー
・ATOMHENGE SUPER DELUXE BOXSET LIMITED EDITION(2013)のレビュー
・上記の国内盤「絶対絶命」スーパー・デラックス・ボックス・エディション(2013)のレビュー
・CDの国内再発盤「絶対絶命」(2019)のレビュー
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2019/06/04 update